パッケージマネージャCLI 操作編

パッケージマネージャはGUI版とコマンドインターフェース版の二つがインストールされます。GUI版においては十分なエラー情報が得られない可能性が有ったり、依存関係にある個々の子パッケージの追加、削除など細かな操作ができない可能性があります。

このようにGUI版において何等かの問題が生じた場合、ここで紹介するコマンドインターフェースの操作を行う必要があります。また、インストールするコンポーネントが決まっている場合、GUIでインストール作業を行うより、コマンドを組合せてシェルスクリプトを組む事でインストール作業を自動化できますので便利です。

ここではコマンドラインインターフェース版のパッケージマネージャの扱い方について説明します。

注釈

コマンドラインインターフェースに関するドキュメントは以下で紹介されています。ただし、パッケージマネージャの最新機能は反映されていません。

https://infosys.beckhoff.com/content/1033/tc3_installation/15698626059.html?id=5147078465983576506

コマンドインターフェースの出現方法

パッケージマネージャは管理者権限で実行する必要があります。このため、Windows環境においては管理者モードによるPowerShellを起ち上げる必要があります。

Windowsキー+Xを押してください。次のメニューが出現しますので、Windows PowerShell(管理者)( A ) を選んで権限昇格のダイアログを許可選択してください。

BSDの場合、管理者権限で実行するためには、コマンド発行前にdoasを付加します。また、Linuxの場合は、sudoを付加します。

$ doas pkg list

パッケージを一覧する

インストール可能な全てのパッケージを一覧する方法は、tcpkg listを発行します。現在インストールされているパッケージだけを一覧するには、これに-iオプションを追加し、tcpkg list -iコマンドを発行します。次の通りの書式でパッケージが一覧されます。

<パッケージ名> <バージョン番号>

以下はインストール済みパッケージを一覧させる例です。

PS C:\> tcpkg list -i
TcPkg 2.1.86

TC170x.UsermodeRuntime.XAR 4026.14.0
TE1300.ScopeViewProfessional.XAE 34.49.0
TF3300.ScopeServer.XAR 34.49.0
 :
vcredist100.Beckhoff 10.0.40219.325
vcredist140.Beckhoff 14.38.33130
191 package(s) found.
PS C:\>

一画面に収まらない場合は、ページネーションしてくれるコマンドmoreと組合せます。パイプ|に続いて次の通りコマンド発行してください。

PS C:\> tcpkg list -i | more
TcPkg 2.1.86

TC170x.UsermodeRuntime.XAR 4026.14.0
TE1300.ScopeViewProfessional.XAE 34.49.0
TF3300.ScopeServer.XAR 34.49.0
 :
TwinCAT.XAE.HART 1.0.4
TwinCAT.XAE.Integration 2.11.0
-- More  --

Enterキーを押しながら行送りができます。

パッケージをインストールする

指定したパッケージをインストールするには下記のコマンドを発行します。依存関係にあるパッケージも自動的にインストールされます。リポジトリに登録された最新のパッケージがインストールされます。-yオプションを付加することで、インストールしてよいかどうかの確認は行わず、ただちにインストールを開始します。

PS C:\> tcpkg install <パッケージ名> -y

任意のバージョンのソフトウェアをインストールしたい場合は-vオプションを指定します。

PS C:\> tcpkg install <パッケージ名> -v <バージョン番号>

パッケージをアンインストールする

指定したパッケージをアンインストールするには下記のコマンドを発行します。このコマンドでは依存関係にあるパッケージは連携してアンインストールされることはありません。

PS C:\> tcpkg uninstall <パッケージ名>

依存関係にあるパッケージを連携して削除するには、--include-dependenciesオプションを付加します。

PS C:\> tcpkg uninstall <パッケージ名> --include-dependencies

全てを削除する場合は、パッケージ名をallとします。

PS C:\> tcpkg uninstall all

構成のエクスポートとインポート

1台のパッケージインストールが終了しましたら、エクスポートコマンドを実行する事でインストールしたパッケージとそのバージョン情報が格納されたXMLファイルをエクスポートすることができます。

また、2台目以後はパッケージマネージャのインストールと設定のみ行えば、1台目と同じパッケージインストールを自動化できます。手順を実施してください。

注意

エクスポートしたXMLファイルは、その環境にインストールされた時点におけるパッケージとそのバージョン情報が一覧されているだけで、パッケージ実体そのものは保存されていません。また、これらのバージョンのパッケージが、常にBeckhoffのパッケージサーバに存在するとは限りません。

したがって、このXMLファイルだけではなく、パッケージマネージャでオフラインインストールする方法の節をご覧いただき、別途オフラインでパッケージFeedを構築しておいて、これらをペアで配布する必要があります。

エクスポート

次のコマンドにより、現在インストールされているTwinCATコンポーネントの構成を定義ファイルとしてエクスポートできます。

PS C:\> tcpkg export -o twincat_required.xml

上記により、次のように構成定義ファイルtwincat_required.xmlが作成されます。

インポート

前節でエクスポートしたパッケージ構成ファイルに基づいて同じ構成のTwinCATコンポーネントをインストールします。

PS C:\> tcpkg import -i twincat_required.xml

各オプションの説明は以下の通りです。

-i(必須)

読み込む構成定義ファイル。

-y

インストールするかどうか確認プロンプトは出現せず、インストールを開始します。

--no-cache

パッケージリポジトリからダウンロードしたファイルをキャッシュせず、インストール完了後ただちに削除します。ディスク容量が節約できます。

--all-sources

これを指定すると、読み込んだ定義ファイルに指定されたバージョンより最新のバージョンが利用可能であれば、そちらをインストールします。