TwinCATで使用可能な変数への間接アクセス機能

TwinCATで使用可能な変数への間接アクセス機能#

TwinCATには、実体を間接参照する方法として様々な手段が提供されています。

ポインタ#

ADR関数を用いる事で、該当する変数のポインタを返します。ポインタの実体は単なるメモリアドレスですので直接変数にアクセスすることはできません。POINTER TO ****で定義した「ポインタ型変数」にセットすることで使えるようになります。ポインタ型変数を通して参照先の実体変数へアクセスすることをデリファレンスと呼びます。TwinCATでは、ポインタ変数の最期にカレット^を付加することでデリファレンスできます。また、ポインタ変数には、ポインタがセットされていない状態（ヌルポインタ）があり、この状態でデリファレンスを行うとプログラムエラーでPLCが停止します。ポインタ変数が0でないことを条件にデリファレンスするプログラムコードとする必要があります。

VAR
    stParameter : ST_Parameter := (Velocity := 50, Acceleration := 500, Decceleration := 300);
    pParameter  : POINTER TO ST_Parameter; // ポインタ型変数の定義
    lrVelocity  : LREAL; // 取り出したパラメータ値
END_VAR

pParameter := ADR(stParameter);

IF pParameter <> 0 THEN
    lrVelocity := pParameter^.Velocity;
END_IF

リファレンス#

ポインタ変数ではデリファレンスしなければ実体変数にアクセスできません。プログラムコード内で暗黙的にそのまま変数名としてデリファレンスしてアクセスできるものを参照変数と呼びます。参照型変数は、変数定義時にREFERENCE TO ****として宣言して使用します。この場合もヌルポインタへのアクセスを禁止するために、参照型変数が正しいポインタとなっているか調べるための__ISVALIDREF()関数を用います。

VAR
    stParameter : ST_Parameter := (Velocity := 50, Acceleration := 500, Decceleration := 300);
    refParameter  : REFERENCE TO ST_Parameter; // 参照型変数の定義
    lrVelocity  : LREAL; // 取り出したパラメータ値
END_VAR

refParameter REF= stParameter;

IF __ISVALIDREF(refParameter) THEN
    lrVelocity := refParameter.Velocity;
END_IF

上記のとおりリファレンスへの値の代入は少し特殊です。通常、値の代入には:=を用いますが、参照型変数には、REF=を用います。ただしファンクションブロックやファンクション、メソッド等の引数に渡す場合は、 := を使う点が極めて特殊ですので注意が必要です。

FUNCTION_BLOCK FB_ModuleController
VAR_INPUT
    refParameter  : REFERENCE TO ST_Parameter; // ファンクションブロックの入力変数に参照型変数を定義
END_VAR

VAR
    lrVelocity    : LREAL;
END_VAR

IF __ISVALIDREF(refParameter) THEN
    lrVelocity := refParameter.Velocity;
END_IF

上記のファンクションブロックの入力変数は参照型変数ですが、ファンクションブロックの引数として値をセットする場合はREF=ではなく:=を用います。

VAR
    stParameter     : ST_Parameter := (Velocity := 50, Acceleration := 500, Decceleration := 300);
    fbController    : FB_ModuleController;
END_VAR

fbController(refParameter := stParameter);

VAR_IN_OUT#

前節で説明したとおり、ファンクションブロックのみの機能です。VAR_IN_OUTで受け渡す変数は実体ではなく参照を渡します。ファンクションブロック内では外部の変数そのものを操作します。ファンクションブロック入出力を共に操作したい場合はこの受け渡しかたが必要です。

FUNCTION_BLOCK FB_ModuleController
VAR_IN_OUT
    refParameter  : ST_Parameter; // ファンクションブロックの入出変数を定義。暗黙的に参照型となる。
END_VAR

VAR
    lrVelocity    : LREAL;
END_VAR

lrVelocity := refParameter.Velocity;

入力変数同様に:=を用いて受け渡します。

VAR
    stParameter     : ST_Parameter := (Velocity := 50, Acceleration := 500, Decceleration := 300);
    fbController    : FB_ModuleController;
END_VAR

fbController(refParameter := stParameter);

VAR_IN_OUT で定義した変数を省略した場合はビルドエラーとなり省略できません。従って、ファンクションブロック内で参照型変数の未定義チェックを行う必要はありません。

インターフェース#

IEC-61131-3の第3版特有の機能としてオブジェクト指向があります。この機能の一つとして、ファンクションブロックのメソッド、およびプロパティの雛形を定義する機能がインターフェースです。定義したインターフェースは「型」として変数定義することができます。インターフェース型の変数は、これを実装した様々な具象ファンクションブロックを読み込むことができます。この際、読み込まれた側のファンクションブロックでは、「インターフェースポインタ」と呼ばれるメソッドやプロパティのポインタを通して間接的にアクセスすることができます。

インターフェースについては、次節以後で詳しく説明します。

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